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金崎内科医院

〒362-0812 埼玉県北足立郡伊奈町内宿台3-40

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院内報2023年6月1日号を掲載しました

気温の変化が大きいもののさわやかな日が5月は多かったのですが、それももう終わりのようで急に湿気を帯びてきたように感じます。雨の多い憂鬱な気候がこれからしばらくは続きそうです。

<かぜ情報>

発熱や風邪症状で受診される方はそれなりにいらっしゃいます。特に小児の受診がやや多いです。新型コロナウイルスの抗原またはPCRとインフルエンザの抗原検査はまだ積極的に実施していますが、どちらも陽性者は少ないながら散発的にみられます。陽性者数の増減ですが3月頃からずっと同じ程度の印象です。

<伊奈町特定検診の開始について>

6月19日から毎年恒例の伊奈町の特定検診が始まります。伊奈町在住の国民健康保険証か後期高齢者証をお持ちの方が対象です(オプション検査となっている胸部レントゲンや大腸がん検診:便潜血などは社会保険に加入の方でも受けられます)。対象者には伊奈町から案内(受診券)が届きます。当院でも接種券が届いた方から予約を受け付けます。今回も11月末までです。期間が長めですので余裕をもった計画で予約できるとは思います。毎年秋以降は予約がとりにくくなる可能性もありますので早めの受診をおすすめします。

<臨時休診のお知らせ>

7月5日(水)は院長が不在のため臨時休診とさせていただきます。

<糖尿病コーナー>

糖尿病の合併症は始めは無症状でゆっくりと進行するというのはご存知のかたも思います。適切な治療をしていなければ着実に進行してしまいます。このような進行をする合併症は慢性合併症とでもいえるでしょう。一方で急に体重が減ったり、尿がたくさん出てしまう、ひどいときには昏睡に至る場合もあるということも聞いたことがあると思います。先ほどの慢性合併症に対してこれらはどういう位置づけになるのでしょうか。正式な言い方ではありませんが先ほどの慢性合併症に対して「急性合併症」と呼んでいいかもしれません。急性合併症が起きる原因は著しいインスリンの不足です。著しいインスリンの不足が起きると著しい血糖値の上昇になります。著しい血糖の上昇は著しい尿糖の上昇にもなります。尿に多量の糖がでてくると、糖に引っ張られるかのように水分も尿から沢山失われでしまいます。尿の量が多くなると脱水と同じ状況になり、とにかくノドが渇くので水分摂取量が多くなります。また、インスリンは血糖を下げる働きのある物質(ホルモン)です。インスリンは血液中の糖を全身の細胞(特に筋肉や脂肪)に取り込ませることで血糖値を下げます。つまり糖を血液から筋肉や組織に移動させるのです。細胞に取り込まれた糖は生命活動のエネルギーとして使われ、余れば脂肪として蓄えられます。インスリンの量が圧倒的に足りなくなるということは血液中の糖を脂肪や筋肉にとりこめないため、これらの組織や細胞は飢餓状態と同じ状態になります。そのため筋肉や脂肪の量が減ってしまい、痩せてしまうのです。慢性合併症が進行するくらいの血糖値の高さが続いていても急性合併症を起こすくらいの圧倒的なインスリンの不足までは起きていない、という状態はあり得ます、というかそのような場合の方が多いです。では、圧倒的なインスリンの不足はどういうとき起きるのでしょうか。例えを挙げてみます。インスリン治療をしていない、あるいは中断した1型の糖尿病、あるいは1型に近いくらいインスリンが不足している一部の2型糖尿病が挙げられます。ほかにも感染症や糖尿病以外の重症な病気にかかったときにもインスリンの圧倒的な不足は起きます。これらの場合、インスリンとは逆の作用をするストレスホルモンが増えるなどが背景としてあります。さらに他の例としていわば「ペットボトル症候群」と呼ばれる状態も挙げられます。「ペットボトル」とはここでは糖分を多く含む清涼飲料水(ジュース)を意味します。甘いジュースは糖類が溶けた水分です。水に溶けただけの糖類は食品に含まれた糖類とは違って、とても速いスピードで体(血液)に取り込まれます。この吸収スピードの速さが問題です。自分で分泌しているインスリンがついていけないのです。従って急激なかつ、高度な血糖値の上昇が起きてしまいます。血糖が高いと尿に排出される糖も多くなります。すると前述のように一緒に水分も尿から出ていってしまい、脱水になります。脱水になると「ノドが渇いた」と感じさらにジュースを飲んでしまうとさらに血糖が高くなりさらに尿がふえてさらにノドが渇いてさらにジュースを飲む。この悪循環でインスリンの圧倒的な不足になり危険な状態になるのです。血糖が高いとそれ自体が膵臓からのインスリンの分泌能力を低下させてしまいます。血糖の上昇に追いつかない相対的なインスリンの不足のみならずインスリンの分泌量自体が絶対的に減ってしまうのです。この高血糖にとるインスリン分泌能の絶対的低下を「糖毒性」と言います。これから、暑くなり、ノドが渇くことも多くなると思いますが糖類を多く含む水分の摂取には十分な注意が必要です。ちなみに脱水の補正に効果があると謳われているスポーツドリンクにもたくさんの糖類が含まれていることはあまり知られていません。代表程な銘柄のあるスポーツドリンクには500mlのペットボトル1本あたり角砂糖5個分の糖が含まれています。スポーツドリンクを飲むことにも注意が必要なのです(できれば飲まないでいただきたいです)。

<院長の日記>

5月の末に仕事の用事も兼ねて名古屋に行き、名古屋城を観てきました。子供の頃からお城は好きでしたが実際に観たお城はまだ少なく名古屋城も今回が初めてでした。やはり素晴らしいお城でした。豪華絢爛な迫力のあるお城でした。実戦的というよりも権力の象徴のようなお城です。鯱(シヤチホコ)で有名な大きな天守閣がありますが、改装が終わったばかりの本丸御殿の中を見ることが出来たのも良かったです。天守閣は太平洋戦争で残念ながら消失し、現存するものは鉄筋コンクリート造りです。間近で見ると木造独特の迫力はありませんが、それでも大きさは圧倒的です。個人的にお勧めの「映え」スポットは西南隅櫓から左に天守を置いた構図の景観だと思います。今回は一人で観て回ったのですが、周りの観光客の会話が気になります。「誰が作ったのかな?」「誰が住んでいたのかな?」「いつ頃にできたのかな?」など基本的なことがわかっていないようで、パンフレットすら見ないのかな、できれば教えてあげたいという衝動に駆られてしまいました。いきなり見ず知らずの中年男性にうんちくを語られても警戒されるだろうし、かといって何も吐き出さないのも気持ち悪いのでここで書かせていだだく次第です。名古屋城は徳川御三家の一つ、尾張徳川藩の居城です。徳川御三家は家康が徳川将軍家(秀忠)の血筋が絶えたときの備えとして創設した大名家です。他は紀伊藩と水戸藩です。それぞれの初代当主は義直、頼宜、頼房となります。義直が3人の中では年長なので尾張徳川藩は御三家の中で筆頭となります。御三家は将軍家に次ぐ格付けの大名なのでその中の筆頭の尾張徳川藩は全ての大名の中で最も格の高い大名となるのです。ですから、江戸時代には名古屋が日本でナンバー2の格となるのです。ちなみに大阪は幕府の直轄地でした。初代当主義直が生まれたのは1601年、関ヶ原の戦いの翌年です。家康がほぼ天下を手中にした後です。高齢になって立て続けに3人の男子が生まれたのです。御三家の筆頭に相応しいように江戸城に次ぐ大規模な普請となり多くの大名が駆り出されました。名古屋城内にも加藤清正が石垣の石を運ぶのを指揮している像があります。御三家の筆頭でしたが、尾張徳川藩からはついに将軍は出ませんでした。江戸の将軍家は七代で途絶えたのですが八代将軍になったのは紀伊藩の吉宗でした。14代までが紀伊系で最後の15代は水戸藩当主の息子の慶喜でした(形の上では紀伊系の一ツ橋家の養子になっています)。200年以上近く経つとさすがに親戚とはいっても紀伊系の将軍家とはお互いに複雑な感情もあったことでしょう。一時期将軍家からの養子縁組が盛んに行われたこともありました。戊辰戦争のときには最後は官軍側について明治維新を迎えています。 戦後の焼失後は市民の強い要望で天守閣は再建され日本一の鯱がその上に鎮座しています。名古屋市民の誇り、とパンフレットが書かれています。ところが今回仕事の打ち合わせでお会いした名古屋の方は、当地にはとく見るべきところはない、とおっしゃっていました。大きな天守閣をもつお城がない埼玉県民からすれば贅沢というかもったいない感覚です。