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金崎内科医院

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院内報2023年4月1日号を掲載しました

暖かくなるのはいいのですが桜が咲くのがさすがに今年は早すぎました。咲いたと思ったら雨の日が続き、気がついたらもう満開を過ぎてしまっていました。やはり人間に都合よくはいきませんね。だからこそ桜はありがたいものなのでしょう。3年前は緊急事態宣言の直前でしたが、そんな中で咲き誇る桜がこのときは恨めしくも感じてしまったのを覚えています。

<かぜ情報>

3月末の時点でも発熱やかぜ症状で受診される患者様は減少傾向が続いています。インフルエンザもゼロではないのですが決して多くはありません。4月以降は新学期が始まり、小児のかぜ症状での受診者数が多くなることが予想されます。

<発熱外来の場所と時間の変更について>

前月からの引き続きのお知らせですが、1月から発熱外来の体制を大幅に変更しています。まず、駐車場奥の仮設診療棟で検査などを実施します。また発熱外来の時間を午前は11:30~12:00、午後は16:00~16:30とさせていただき、その時間帯は他の診療は一時中断となります。発熱外来以外の通常診療希望の方はご留意ください。
これも以前から申し上げていることですが、かぜ症状での受診予約はネット予約ではなく直接の電話予約をお願いいたします。ネット予約で来院されても、発熱外来枠が空いていない場合には改めて別の時間枠へのご案内をお願いすることがあります。

<糖尿病コーナー>

今は「エビデンス」の時代です。エビデンスとは根拠とも言い換えることができます。医学においてもエビデンスが重視されています。ある治療にエビデンスがある、とは厳密にはある治療法Aとある治療法Bの効果を治療法以外の条件は可能な限り同じにして(不公平がないようにして)その治療効果を比べたものが一般的な形式です。もし治療法Aの方が治療法Bよりも効果(差)が証明されればAの方がBよりも効果があるということができるのです。糖尿病の食事療法にはエビデンスがない、と言ったら驚かれるでしょうか。あれほど食事の摂り方について指導を受けているのにその根拠がない(少ない)とは驚きですよね。これにはいくつかの要因があると思います。まずエビデンスを証明するのに何を結果とするか、という問題です。糖尿病のお薬のエビデンスは主に合併症や動脈硬化、死亡率などをみます。血糖が下がるかは少なくとも市販されているものでは結果にしません。血糖が下がるのは当たり前だからです。また、比較するもの以外は条件を可能な限り揃えなければいけません。お薬の治験などでは可能でしょうし、すでに存在する沢山のデータから条件を揃えて抽出することも可能です。しかし、食事はお薬と違って多用ですし、あらゆる要素が関係します。まったく同じ食事を多くの人がとることは不可能です。そもそも食事は治療ではありません。個人の生活スタイルや好みが大きく影響します。人種や国によってもかなり異なります。いわば文化です。ですから食事の違いによって合併症の発症や死亡率の比較はほぼ不可能ではないかと個人的には思っています。食事療法の一つの方法として糖質(炭水化物)制限があります。これもエビデンスは少ないです。糖質制限をするとかえって脂肪や蛋白質の摂取が増えてしまったり、人によっては大きなストレスになる場合もあります。年齢によってもメリット・デメリットは違ってくるでしょう。しかし、ある程度の条件をつければ糖質制限は有効な場合があると私は思います。まず、効果を判定する結果を血糖が下がるか、体重が下がるかという目先のものにした場合には効果は十分期待できます。また、日本人にはより有効ではないかと「推測」はされます。日本人は糖質の摂取比率は多いと思います。ご飯の文化ですし、外食やコンビニでも糖質の食品ばかりです。1回の食事がご飯と麺類の組み合わせになってしまう人も多いでしょう。一方で脂質の摂取は欧米に比べたら少ないです。欧米に旅行したら実感すると思いますが、レストランに入ると肉や油ものばかり、炭水化物はポテトくらい、なんて具合でしょう。ですから欧米人が糖質を減らしてもあまり効果が期待できないのは容易に想像でき、日本人はその逆となる訳です。つまり、日本人において短期的に血糖や体重を下げる方法としては有効と考えています。もちろんすべての日本人にお勧めというわけでは決してありません。ご高齢の方は蛋白の摂取がとても大切ですが、胃腸の機能が落ちてくると、こってりした油ものやお肉は食べにくくなってくるでしょう。そこでさらにご飯などの糖質を制限すると栄養状態がさらに悪化してしまうことは懸念されます。

<院長の日記>

ウクライナでの戦争は膠着状態に入ったのでしょうか、最近は報道されることも減ってきています。だからと言って終わるわけでもなく、むしろますます先が見えなくなってしまったようです。以前も書きましたが、戦争は始まるのは簡単ですが特に近代以降は終戦、あるいは停戦にもっていくのが難しいことは明らかです。今更ながらなんとか戦争を回避できなかったのでしょうか。もちろん始めたのはロシアです。ロシアは非難されるべきです。しかし各国でなんとかロシアが開戦しないように持っていくことはできなかったのでしょうか。やはり欧米にも責任はあると言っていいと思います。あえてロシアや最近対立が鮮明になっている中国の立場になって考えてみることも大切だと思います。といっても相手の立場に立ってみようとしたところで最終的に相手の気持ちが理解できるという分けではありません。人同士でも相手の立場にたってみようとは言いますが、君の気持ちが良くわかるといわれたら、君に僕の何がわかるんだ、と言いたくなるのが自然でしょう。ここは言い方を変えます。どうすれば相手が嫌がるか、を考えてみましょう。ロシアはウクライナがNATOに加盟することに対して繰り返し警告を発していました。もちろんその前からロシアと欧米の対立は次第に深まってきていました。ソ連崩壊後、ロシアとなり、一時はG8のメンバーになりNATOともパートナシップを結んでいました。ロシアは一方で国内の武装勢力を力で抑えつけ、それに対し欧米から人権抑圧反対の立場から批判されるようなりました。またプーチンの独裁的なやり方が欧米からは次第に疑問視されるようになりプーチンも欧米へ不信感をもつようになりました。欧米は相互協力の立場から転換しロシアを孤立させるようにしているとプーチンンは思うようになりました。実際にアメリカの右派勢力(ネオコンなど)はあからさまにロシアが嫌がることをするようになったと言われています。そして決定的なのがロシアのクリミア併合です。欧米各国は制裁を課すことになり対立は決定的になりました。アメリカの右派勢力はますます勢いづき、ロシアの最も嫌がることであるウクライナの取り込みにかかります。ウクライナは独立国家です。ウクライナが自らの判断でどちらにつくかは決めるべきことではあります。しかし、事はそれほど単純ではないように思えます。個人的にロシアとウクライナのこれまでの歴史を勉強しましたが正直に申し上げて複雑すぎて理解できません。理解する方法の一つとして何かに置き換えることがありますが、島国日本に住む者にはまったくピンときません。ある程度理解したつもりの他国の関係にも置き換えようとしましたがやはりだめでした(中国と台湾、ドイツとオーストリア、ベルギーとオランダ、アメリカとカナダ、イギリスとアイルランド、など)。欧米側もどの程度理解しているのでしょうか。政治や歴史の専門家以外は単にお互いの独立国家同士のウクライナとロシアという関係でしかみていないかもしれません。もともとウクライナの(ロシアに対しての)ナショナリズムがどの程度のものであったかは疑問です。しかし今回の戦争によってナショナリズムが新たに作られてしまったように感じます。ここまできてしまったらウクライナももう引けないでしょう。開戦当初にささやかれたプーチン政権の崩壊なども現実的ではないようです。そもそもこのプーチン政権の崩壊というシナリオも欧米側の傲慢さから来ているように感じます。今後の世界の分断を避けるためにも正義を振りかざすだけではなく相手の国(とくに為政者)のレッドラインを慎重に判断すべきだと感じます。戦争が起きてもいい、という覚悟があるなら別ですが。