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金崎内科医院

〒362-0812 埼玉県北足立郡伊奈町内宿台3-40

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院内報2026年9月1日号を掲載しました

「残暑」ということばには、「まだ暑いけどもう少し」という期待が込められているように感じます。
それでもあまりにも熱いと空しく聞こえてしまうこともあります。
8月後半になって空を見上げると心なしか秋の空にみえることがあります。雲が高く、薄く棚引いているとでもいいましょうか。
今年は暑さよりも大雨が怖い状況が続いています。秋は雨や台風の季節です。どうかこれ以上災害が増えませんように。
9月1日は防災の日です。

<かぜ情報>

かぜ症状で受診される方は引き続きそれほど多くなく落ちています。
インフルエンザの流行がすでに始まったとの報道もあります。当院では8月にインフルエンザ陽性の方が数人いらっしゃいました。でもまだ流行の感じではありません。
昨年は流行が始まるのが早かったですが今年はさらに早くなるのか心配なところです。

<伊奈町特定検診の開始について>

伊奈町の特定検診の時期です。
伊奈町在住の国民健康保険証か後期高齢者証をお持ちの方が対象です(オプション検査となっている胸部レントゲンや大腸がん検診:便潜血などは社会保険に加入の方でも受けられます)。
対象者には伊奈町から案内(受診券)が届きます。

当院でも接種券が届いた方から予約を受け付けます。今年も昨年同様、10月末までとなります。
毎年9月以降は予約がとりにくくなる可能性もありますので早めの受診をおすすめします。
前号でも書いたとおり、骨粗鬆症検診の対象者になっている方(40歳以降の5歳刻みの年齢の女性)はこの機会の受診をすることをお勧めします。

<キャッシュレス決済機の導入について>

7月末から、キャッシュレス決済機を導入しています。
医療機関ではまだ導入されていないところが多いと思いますが今や多くのお店では普通になってきています。
診察券に付いているバーコードを機械にかざすだけで、精算額が表示されますので、あとは現金、クレジットカード、バーコード、電子マネーいずれでもお支払いいただけます。
おかげさまで、導入から1か月の時点で特にトラブルなくスムーズに運用できています。

<糖尿病コーナー>

私はヤギが大好きです。
数年前に仕事で疲れ切ったとき(確かコロナ禍だったような)、ふと東武動物公園に一人で行きました。
そこで見たヤギにとても癒されました。以来、ヤギのいるところに出かけるようになりました。私のスマホの待ち受け画面はこの東武動物公園のヤギです。

ヤギは主に草を食べます。その辺の雑草やほし草などで満足してくれています。
草食動物なのであたり前なのですが、そんなのでいいの?と思ってしまいます。
牧場や動物園のヤギにその辺の草をむしって口のあたりにもっていくと食べてくれます。

さて、私たち人も含めた動物は食物を摂取し消化および吸収しさらにそれを「代謝」することでエネルギーを得ています。そのエネルギーは有機化合物を摂取することでしか得ることはできません。
有機化合物は炭素原子を含みます。生命の体には炭素化合物が含まれます。ですから他の生命の体やその産物を取り込むことでしか生きていけないのです。草など植物も生命体ですから炭素化合物から構成されます。理屈の上ではエネルギー源にはなり得ます。
しかしヒトは草からほとんどエネルギーを得ることができません。草はセルロースという炭素化合物からなりますが人はこのセルロースを分解する酵素をもっていないのです。

一方、草食動物はセルロースの分解産物を直接利用しているわけではありません。セルロースを大きな胃のようなところにいったんため込みます。ルーメンというところです。
ルーメンにはたくさんの微生物がいてこの微生物がセルロースを分解します。正確には「発酵」です。この発酵で生まれた(揮発)脂肪酸をエネルギーにしているのです。
脂肪酸は人にとっても栄養価の高いものです。もちろん、草は肉や脂肪、糖類を直接摂取するよりも効率は悪いので食べ続けなければいけないですし、大量の草を摂取するので巨大な胃のようなもの必要です。ですからおなかも大きいのです。
また微生物自体も貴重なエネルギー源になります。

草を栄養源にするメリットはあります。草はその辺にいくらでもあるので肉食動物のように獲物を探したり、他の動物と捕食のための競争をしたりする必要がないのです。
草食動物はだから優しくておとなしいのでしょうか。目つきも優しいです。そしてそれを見て私も癒されています。

疲れているときにヤギをみていると自分もいっそのことヤギに生まれ変わりたいと思うこともあります。
毎日平和でいいなと想像します。
家内にそれを話したら相当疲れているようね、と心配されました。
栄養価の高いものであふれかえっている中でせわしなく生きる人間と草をのんびり食べているヤギ。どちらが幸せなのでしょう。
ヤギにも私たちの知らない気苦労がそれなりにあるのかもしれませんが。

<院長の日記>

夏の休暇中に「開戦前夜」という映画をみてきました。
原作は猪瀬直樹の「日本人はなぜ戦争をしたか:昭和16年夏の敗戦」です。私もだいぶ以前に読んだことがあります。
太平洋戦争の終戦は昭和20年夏です。では「昭和16年夏の敗戦」とはどういうことか?

昭和16年に軍、官僚、民間から若手のエリートたちが選抜され「総力戦研究所」という研究機関(正確には教育機関とされています)が設置されました。その名の通りアメリカおよびイギリスと全面戦争になったときの想定をもとにシミュレーションを行い、場合によっては国の政策の参考にするというものでした。模擬内閣を作っての本格的なものでした。
実質4か月間という短期間の研究で出された結論は「日本の必敗」でした。

映画では模擬内閣の首相に抜擢された民間の銀行員を池松壮亮、官房長官になった新聞社の社員を仲野太賀が演じました。現在放映中の大河ドラマ「豊臣兄弟」とおなじコンビですね。
まだ視聴していない人にとってはここからネタバレになりますのでご注意ください。

アメリカとの戦争になることをどこよりも先行して想定していた陸軍が設置の主導となりました。せっかくエリートたちを集めたのに陸軍の意向に沿うように圧力をかけてきます。具体的には身内の徴兵や過去の身辺調査などです。
研究員たちはその脅しに屈しかけますが自らの信念と国家を救う使命のため陸軍の意向とは真逆の結論、すなわち「日本は絶対に勝てない」という報告を時の首相の近衛文麿や陸軍大臣の東条英機の前で行います。それでもその後日本がどのような道をたどったのかは誰もがご存じの通りです。
佐藤浩市が演じる東条英機も自分が首相になってからはなんとか開戦を避けたいと苦悩しますが、軍や世論からの圧力に抗しきれずに絶望的な道へと突き進みます。映画なので必ずしも史実と一致しているとは言えないかもしれません。

対米交渉が行き詰まったときに首相に就任した東条への開戦の期待は相当なものだったようで、その後いったんは外交交渉に時間を費やした東条に対して「腰抜け」との誹謗が飛び交ったのは事実です。
天皇は陸軍内の強硬な開戦論を抑えられるのは身内の東条しかいないと逆の期待をしていたと言われています。もっとも、東条自身も首相になる前は陸軍の戦争拡大路線に異議を唱える者を取り締まったり左遷させたりしてきたので自分で蒔いた種ではありました。

「戦争はいけない」とは誰もが言います。でも戦争は現に今でも起きています。
戦争がなぜ起きるのか、戦争が起きたらどのように終わらせるかといった学問的な分析や論争は少ないように感じます。
これは戦争が起きる前提での話になるのでむしろタブーとなってしまっているようにさえ感じます。しかし、平和や戦争反対を訴えるだけではダメであることにはそろそろ気づくべき時期だと思います。過去の戦争のパターンを分析したうえで最終的には国の指導者に開戦を思いとどまるようにすればどうすればいいのか、という議論をすべきだと思います。

一方でそれでも戦争は起きてしまうかもしれません。
今でも信じられないことですが日本は負けるとわかっていても戦争を始めてしまいました。今回の映画ではそれが描かれました。
研究員たちには焼野原となった日本の光景が既に見えていました。真珠湾攻撃に至る過程はその前の日中戦争やさらにその前の一連の戦争、明治維新にまでさかのぼり、日本の統治機構、欧州の情勢の影響も考える必要があると思います。

私は個人的に歴史が好きで特に日本の近代史に挑んでいますがその動機にあるのは愚かな戦争をしてしまったことにまだ日本人は向き合えていないと感じていることだと思います。
今も外国で戦争が起きていますがなぜそうなってしまったかについて自分の中で何とか少しでも納得できるようにしたい、さもないと不安で仕方がないのです。
今後も皆様と一緒に考えていければと思っています。