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金崎内科医院

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2019年1月1日号

今年もよろしくお願いします。さすがに本格的な寒さとなってきました。あと、3か月近くも寒さに耐えなければいけない、と思うとさすがにがっかりします。12月後半に自分自身も早速、軽いかぜをひいてしまいました。寒いと必ず体調を壊すという前提でいた方がいいと思います。

それと、今年は元号が変わります。あらかじめ元号が変わるとわかっているというのは初めての体験ですが、個人的には日本の在り方を考え直すべきときと重なっているような気がします。

 

<かぜ情報>

12月後半からインフルエンザが増えてきました。1月半ば頃から本格的流行となるのは確実でしょう。ワクチンを接種していても残念ながらかかってしまう場合があります。ワクチンをうっていてもうっていなくてもくれぐれも予防に努めていただきたいです。

ウイルス性胃腸炎の流行がまだ少ないのが不気味なところです。インフルエンザと合わせて用心したいところですが、インフルエンザと同時に流行することが不思議と少ない気がします。インフルエンザの流行のあとにやってくるのかもしれません。

 

<糖尿病コーナー>

毎年、年末年始を過ぎると血糖が上がりやすい、とのことで患者様には注意喚起をさせていただいております。しかし、実際になぜこの時期に上昇しやすいのかはあまりわかっていません。また、当院に通院中の患者さまにもそのような傾向があるのか、ということを調べたことがありませんでした。昨年121日に開催した糖尿病教室でこのような疑問にお答えする形で私から講演させていただきました。今回、紙面にて改めてご紹介させていただきます。糖尿病教室に参加できなかった方はもちろん、参加された方も復習の意味もあると思いますので参考にしてください。

従来年末年始以降の1月から2月にかけて血糖が上がりやすいというは経験的に語られてきました。実際、いくつかの報告でも同様のことが書かれています。しかし、なぜ、この時期に血糖が上がりやすいのか、ということについて学問的にははっきりとはわかっていません。年末年始の休暇や飲食量の増加、動くことが少なくなる、などが挙げられてはいますがあくまで推測の域を出ません。今回、当院に通院注意の患者様のうち、比較的通院期間の長い、約300人のHbA1cの季節による変化をしらべてみました。約2年間(シーズン)の8月と1月のHbA1cの数値を比較してみたところ、2シーズンとも8月から1月にかけて平均のHbA1cの上昇がみられました。また、各人それぞれどのように変化をしたか、という視点から調べたところ、約60%の患者様が8月から1月にHbA1cが上昇し、同様に約60%の患者様が1月から8月にかけて低下していました。当院でも冬季に血糖が上がる傾向にあることが実際に確認されたことになります。個人的には昨シーズンの冬はとても寒かったのですが、3月中旬から急に暖かくなったように感じました。それと同時に春から急にHbA1cが下がった人が多いようにも感じました。このとき、HbA1cが下がった理由を患者様本人にお尋ねしても、特に食事や運動や仕事など変わったことはなくご本人も不思議がっているというケースが多くみられました。実際に昨年の5月のHbA1cのデータも調べてみたところ、1月から5月にかけてHbA1cが平均で0.2%低下していました。ここから考えられることは生活環境の温度そのものが血糖の変化に影響する可能性があるのではないか、ということです。報告された論文を調べてみると、動物実験レベルでは温めることによってインスリンの分泌量が増える、あるいはインスリンが効きやすくなる、つまりは血糖が下がりやすくなるというものがありました。また、血糖の厳密な管理を常に必要とされる、1型糖尿病の場合、寒くなるとインスリン必要量が増えるということが従来経験的に言われています。年末年始の後の血糖の上昇には食事や運動といった行動面の理由だけでなく、温度そのものも影響しているのかもしれません。私は個人的にはその影響が大きいと思っています。さて、冬季に血糖が上がりやすいというのは全体の傾向からは正しいのですが、中には冬季に逆にHbA1cが下がる患者様もいらっしゃいます。先ほど、60%の人は1月にHbA1cが上がっていると述べましたが、逆に言えば、40%の人は変化がなかったか、下がっているのです。季節による血糖変動には多くの要素が関係し、かつ個人によってどの要素が大きく影響するかが異なるためと推測されます。したがって、自分の過去の血糖の変動をまず振り返ってみることをお勧めします(当院では受診されるたびに過去約1年半分のHbA1cの数値とそれをグラフ化したものをお渡ししていますので参考にしてください)。そして、やはり自分は毎年、冬季に血糖が上がりやすいという傾向が確認されたら、この時期の食事や運動により注意した方がよい、と言えるでしょう。


<院長の日記>

今年から元号が変わります。前回の元号改訂はどうだったでしょうか。30年前に平成に変わったので、30歳代後半以上の人はその時のことを覚えていると思います。私がちょうど高校2年のときでした。まず、高齢の天皇陛下(昭和天皇)の容態が前年の秋ごろから徐々に悪化しはじめ、世間でも「Xデー」が近いと認識するようになりました。それとともに自粛ムード一色になりました。今から考えれば異様なくらいの自粛ですが、このときはそんなものだと思っていました。当時をやりすぎと冷静に振り返ることができるということは日本人の意識も変わってきた(リベラル化?)のでしょう。そして年が明けて昭和64年の17日にそのときが来ました。私の記憶では早朝に崩御のニュースをきき、まだ学校が冬休み中でしたが、朝から部活に行くために駅に行きました。そこで、高橋君といういつも一緒に部活に行く友達に会って、彼から「ニュース見た?」と聞かれたのを覚えています。高校生ですから「うん、見たよ」くらいで会話を終わりました。崩御の前から年号が新しくなる、新しい年号はもう決まっている、といった話がでていました。そして新しい元号について様々な噂が飛び交っていました。私が聞いたのは新しい元号は「和光」だというものです。銀行などでは早く新しい元号を把握している、そしてその名前がそのあたりから漏れ出た、というのです。恥ずかしながら、私をその噂を信じて友達に「和光になるらしいよ」と話してしまいました。結果はもちろん全然違って「平成」。今回の元号改訂でもそんな噂が出回るのでしょうか。内閣府が決めるようですが、中国の古い書物から引用し、かつ、過去の元号とかぶらず、誰もが受け入れられるものでなければならないようで、決めるのも大変だと思います。そもそも、自分の国だけの年号をもっているという国は現在、日本以外でどこかにあるのでしょうか。万国共通とはいかないまでもキリストの誕生日から数える西暦と何十年か毎に変わる元号を併用するのは不便なときもあります。書類に自分の誕生日を記入するときもどちらを書くか指定がなければちょっと迷いますし、年号と西暦を変換するときにも毎回私は時間がかかります。例えば、えーと、2000年は平成12年、2018年は平成30年か、と。ちなみに新しい元号は「・・・元年(1年)」が2019年になります。今回も変換しにくいです。ちなみに昭和については1945年が昭和20年(終戦の年)でした。不便なことはあっても元号を繋いでいうことを当たり前のようにして生きている感覚が日本人のアイデンティティーの一つなのかもしれません。個人的は次の元号を機に国民一人一人の「幸福」を考えていく時代になって欲しいです。