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金崎内科医院

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院内報2022年12月1日号を掲載しました

11月までは暖かかったように感じます。しかしさすがに12月。本格的な寒さは間違いなく、しかも急に来ると思われますので寒さに身構える今日この頃です。

<かぜ情報>

特に特定の感染症が増えているわけでも減っているわけでもない日が続いています。その中でやはり一定の割合でコロナの陽性者もいらっしゃいます。インフルエンザにやはり警戒しなければなりませんが、12月前半がまず今後を占ううえで重要な時期と思われます。新型コロナとインフルエンザ、どちらもとにかく流行らないで欲しい、祈るような毎日です。
熱はなくてもかぜ症状、特に発症間もない場合などは引き続き発熱外来での診療とさせていただきますのでご理解、ご協力の程、よろしくお願いいたします。また、かぜ症状での受診予約はネット予約ではなく直接の電話予約をお願いします。ネット予約で来院されても、発熱外来枠が空いていない場合には改めて別の時間枠へのご案内をお願いすることがあります。

<診療時間臨時変更予定について>

12月2日(金)の診療時間は18:30までとなります。

<年末年始の休診日について>

12月28日から1月3日まで休診とさせていただきます。お薬の手持ち分をきらさないようにご確認をお願いいたします。

<糖尿病コーナー>

前回の話は難しいとの感想を複数いただきました。「サロゲートマーカー」「相関」「因果」「介入」「暴露」など難しい言葉も使ってしまってさらにわかりにくかったかもしれません。
今回も同じ統計学のテーマですが、話を大きく変えてみます。テレビなどで、ある健康食品を摂取したらなんらかの症状が改善した、だから効果あり、と宣伝しているとします。例えば、ある健康食品を3か月摂ったら体重が減った、というシンプルなデータが示されたとします。いかにもダイエットに効果がありそうですがこれだけでは「効果がある」とは決して断定できません。「もしかしたら効果があるかも」くらいは言ってもいいかもしれませんが、お金を出して買う程のものではないはずです。根拠(エビデンス)とするには手法に大きな問題があります。まず、プラセボ効果が考慮されていません。なんらかの健康食品をとり、効果を観察されているとう事自体が心理的あるいは行動の変化をもたらすことは十分想像されます。始めから効果を信じている参加者が、途中で効果があまり出ていないと気づいたら無意識のうちにいつもより食事を減らしてしまうかもしれません。観察されているとわかっていたら恥ずかしくないようにいつもより羽目を外す行為が減るかもしれません。このような効果を防ぐために、本物と見分けがつかない「偽薬」を飲むグループも設定して比較しなければいけないのです。また本物(実薬)と偽薬のグループはほぼ同じ背景の人たちでなければいけません。たとえば、体重の低下の幅はもともと体重が多い人の方が大きくなりやすいかもしれません。性別や年齢、持病の有無なども影響するかもしれません。これらの因子(要素)も両群でできるだけ揃える必要があります。もし揃っていなかった場合は結果を分析(解析)する段階で統計学的に調整しなければいけません。お金を出して買ってもらうためには販売する側は最低ここまでのデータは提示しなければいけないと思います。そのようになっていないのが実情で広告を許可している当局にも問題があると言わざるを得ません。少し厳しい話になってしまいましたが、健康に関する話には誰もが関心をもっていると思いますがだからこそより厳しい目をもたなければいけないのです。統計学は奥が深く難解なところもあります。新型コロナウイスルに効果がある薬やワクチンについて様々な議論があります。なかには噂や都市伝説のようなものがありますが、ここはやはり厳密な議論の土台となるのは統計学です。私などは不安になるほど統計学による裏付けを求めてしまいます。なるべく根拠となる論文には目を通すようには心掛けています。一方で統計学的手法は複雑多様化しています。新型コロナウイルスのワクチンの論文も正直に申し上げて完全には理解できていないところがあります。一部の人しか理解できない論文で医療政策が決まってしまうのにも問題があるかもしれません。なんとか自分も勉強を続けてわかりやすい議論ができるようにしたいと日頃から考えています。

<院長の日記>

北海道の一匹の野生のヒグマが今、話題になっています。コードネームはOSO-18(おそじゅうはち)。オソベツという地名のオソと足跡の幅が18cmであることからその名になりました。OS0-18の特徴は以下の通りです。まず酪農の牛を襲います。現在北海道に住むヒグマはほとんどが草食であり、まして牛を襲うということは極めて珍しいことです。これまでに65頭が襲われそのうち21頭が死んでいます。次に、足跡の幅からかなり大きい体であるこが推定されます。また、極めて用心深く人前には決して姿を現しません。罠を仕掛けてもかいくぐってしまいます。何より大きな謎としてなぜ牛を襲うのかがわかっていません。食べた形跡がほとんどなく、牛の腹部を執拗に傷つけます。実際に内蔵が飛び出た状態で発見される場合が多いのです。このようにミステリアスで猟奇的であることが話題に拍車をかけます。全てたった一匹のヒグマによるものです。現場に落ちている体毛をDNA鑑定するとすべて一匹のものに一致するのです。人にはまだ被害がでていないのでそのままにしておけばいいのかと言えばそうもいきません。牛は酪農家にとっては貴重な資産です。加工食品を含めれば私達のほとんどが乳製品のお世話になっているのですから他人事というわけもいきません。そしてやはり最大の恐怖はいつか人に襲いかかってくるのではないかということです。北海道の一次産業に従事する人なら多くの人が知っているであろう、有名な獣害事件が思い起こされます。大正時代に起きた三毛別羆事件です。人の肉を食べることに執着したヒグマが次々に人家を襲い、7人もの死者を出した事件です(以前もこちらのコーナーでも触れたことがあります)。もともと草食のヒグマが突然、肉に興味をもち執着し始めるということはあるようです。現在、官民一体となって駆除に乗り出していますが難航を極めています。OSO-18の行動範囲は広く、東京23区の3倍の広さだと言われています。その中で一匹のヒグマを見つけ出すのがいかに難しいかは想像に難くないでしょう。今年、NHKで2つの特集番組が放送されました。9月にクローズアップ現代で取り上げられ、そして11月26日にはNHKスペシャルで放送されました。特にこのNHKスペシャルは大変興味深いものでした。新たなことがわかっているようです。OSO-18には2つの大きな行動ルートがあることが突き止められました。また、足跡の幅は実際には16cmで、設置カメラにも捉えられるようになったその体はそれほど大きいものではなく、普通からやや大きい、程度のものであることもわかりました。また、牛を襲う目的ですが、詳細な検証によって、やはり食べるためであることが推定されてきています。過去に猟銃で撃たれたことがあることも可能性として挙げられています。個人的には三毛別羆事件を描いた吉村昭の小説(「羆嵐」)を読んでから野生の熊にとても興味をもっていました。OS0-18についての今後の進展には注目しています。