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金崎内科医院

〒362-0812 埼玉県北足立郡伊奈町内宿台3-40

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院内報2022年2月1日号を掲載しました

年が変わって世界も変わってしまったかのようです。寒い日も続きますし、愚痴ばかりになってしまいます。
まあ、それでも以前から述べているように上がるものは下がることになっていますので2月は希望をもっての踏ん張り時だと思うようにしましょう。

<かぜ情報>

通常の風邪症状でも検査をしてみると新型コロナウイルスと判明するケースがとても多いです。当院ではPCR検査は外部の検査会社に委託しておりますが、大変に混み合っているようで、結果が判明するのがかなり遅れてきています。通常は翌日の夜までには判明するのですが、現在は早くて2日後、遅いときは4日後になってしまうこともあります。発症から約1日以上経過していれば抗原検査でも判定できますが、検査キットの供給が滞っているため綱渡りの状態が続いています。一方、ウイルス性胃腸炎もやや多い状況が続いています。
発熱で受診される場合の他、嘔吐や下痢が見られる場合もやはり時間指定での隔離室への誘導なども続けます。行政からの指導のもとでの、時間的及び空間的な隔離をしたうえでの診療となりますので、混雑した場合には予約が埋まってしまうことがあります。

<新型コロナウイルスワクチン接種について>

新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種が始まっています。昨年の1、2回目接種同様に伊奈町では行政で一括で予約を受け付け、各医療機関に割り当てる仕組みになります。当院でも割り当てに従って実施をする予定で、当院で直接予約を受け付けることはできません。まずは接種券が住民票のある各自治体から送られてくるまでお待ちいただくことになります(当院に直接申し込もうと電話をかけてくる事例が毎日のようにありますが、申し訳ありませんが受付はできません)

<糖尿病コーナー>

新しい薬を今回は紹介いたします。広告の基準に抵触する恐れがあるので商品名は控えますが、タイプとしては「経口型GLP-1受容体作動薬」となります。なんだか難しそうな名前ですね。「GLP-1」についてまずは解説します。GLP-1は「インクレチン」の一種です(インスリンではありません)。インクレチンはインスリンの分泌を促進するくすりです。特徴的なのは食事をとるとインクレチンが分泌されてインスリン分泌を促進させるという点です。実はこのインクレチンの関連するくすりは他にあります。DPP4阻害剤というものです。当院でも多くの患者様に処方させて頂いております。DPP4阻害剤は本来私たちが自分で分泌している(「内因性」といいます)のインクレチンの量を増やすようなお薬です。一方、GLP-1受容体作動薬は内因性のインクレチン(GLP-1)ではなくGLP-1と同じ働きをする成分でできています。内因性のインクレチンより多くのインクレチンを投与することができます。実は、このインクレチンはインスリン分泌を促すだけではなく数多くの別の働きがあります。たとえば、胃腸の動きや消化を遅くします。胃腸の働きを遅くすると食事の分解や糖の吸収を遅くして、血糖の上昇スピードも抑えます。糖尿病の場合血糖の上昇についていけずに血糖を下げる働きが弱まっていますので、血糖上昇が遅ければ糖尿病であっても血糖がより下げやすくなります。また、これとは別に脳に働きかけて食欲を抑える作用もあります(直接脳に作用するのではなく脳から降りてきている神経線維に働きかけます)。食欲がおちて食事量が少なくなれば血糖コントロールがよくなるのは想像に難くないでしょう。
さて、このGLP-1受容体作動薬はこれまでは注射薬として使われてきました。かなり改良が重ねられ、週1回のみで簡単なペン型のものもあり当院でも多くの患者様にお使いいただいております(キャップを外してお腹につけ、ボタンを押すだけのものもあります。実際に自分で針を操作したり見たりはしません)。実際に使ってみれば簡単なのですがやはり注射ということではじめから抵抗感をお持ちになりなかなか使用に踏み切れない人も多いです。そこで今回登場したのが「経口型」つまり内服薬です。こちらも高い作用が期待できます。しかし、注射型を内服型にしたため内服の仕方(用法)にいくつか独特のものがあります。朝に内服していただくのですが、朝食の30分以上前に内服しなければいけません。またコップ半分くらいの水(約120ml)と一緒に飲まなければいけません。この食事の時間と水の量を守れないと作用が落ちてしまうのです。最近は朝食を摂らない方が多いです。本来は、朝食は摂った方がよいのですが、この薬はそのような朝食をもともと取らない方にはむしろ向いているかもしれません。胃腸の働きを抑えるので内服当初は胃の不快感を伴うこともあるので、体に慣れさせるため少ない量から開始し段階的に増量していきます。開始量は3㎎で、通常量は7mg、さらに作用を期待して14mgまで使えます。イメージしやすいように具体的にこのくすりがうまく効いた場合(例)を紹介すると次のようになります。内服当初はちょっと気持ち悪いと感じたが次第に感じなくなり、さらに増量したらなんとなく特に不快感もないのに自然に食べたいという欲求がなくなり、おやつや食事量が少なくても済むようになった。体重が少し減ってHbA1cも少しずつ減っていった(HbA1cの低下幅はもともとHbA1cが高い人ほど大きいとされています)・・・。実はこのGLP-1作動薬は血糖を下げるだけではなくそれとは別に心血管疾患の発症も予防する作用が証明されています(「SUSTAIN-6」 study)。将来的にもスタンダードな治療薬になると思われます。

<院長の日記>

さすがに1月の新型コロナウイルスによるいわゆる第6波には驚きました。このウイルスとの付き合いももう2年、翻弄されっぱなしで、当初の予想もことごとく覆されてきました。例えば、このウイルスは変異しやすいが修復機能ももっており、変異株による新たな流行は考えにくいとされていました。学会(内科など)でのウイルス学者の招請講演でもそのように言われていたのを覚えています。ところがイギリスからのアルファ株、その後のデルタ株など、いずれも変異株によると考えざるを得ない流行の波を作りました。また、ワクチンをみんなでうてば集団免疫となりやはり大きな波は来ないではないかとの説もありました。しかし今回もオミクロン株による大きな波となってしまいました(重症化予防には良い影響があるようですが)。一方で、一つのある予想が当たりそうな状況に今のところなってきつつあります。それはいずれ5番目の風邪コロナウイルスになるだろうというものです。このウイルスを軽視する発言はまだしにくい状況ですが、正直に申し上げて現在流行中のコロナウイスは昨年夏のデルタ株の流行のときとはかなり違うという実感をもちます。それこそ普通の風邪の流行をみているような印象です。ただし、診断されてしまうと長期(約10日)の経過観察期間と濃厚接触者の隔離や場合によっては検査などが必要となり、病状そのものよりも別のことで労力を費やしてしまっています。今のウイルスに社会体制がついていけてないのです。これもある程度仕方のないことでオミクロン株の特性は始めはわからなかったわけですから、重症者を増やさないように、そのためには感染の広がりを少しでも抑えるという体制のままにしておかざるを得なかったのでしょう。今後、このウイルスがまたどう変わっていくのかはわかりません。重症化予防の薬も加われば、今回の流行を機に付き合い方が変わっていくのかもしれません。ところで中国はいつまでゼロコロナ政策をつづけるのかというのは気になるところです。あまりに不自然でやりすぎなのがさらに際立ってきているように感じます。