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金崎内科医院

〒362-0812 埼玉県北足立郡伊奈町内宿台3-40

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院内報2025年8月1日号を掲載しました

8月が始まった時点でもう2か月も暑い日を耐えてきたことにあります。今年は梅雨がはっきりせず6月から猛暑日が続いていました。
そういえば近年は夏に蚊をあまり見なくなりました。刺される機会が減ったのは嬉しいことですがなんとなく調子が狂います。さらに蝉の声もあまり聞こえない気がします。もう私達の知っている夏ではない、そもそも夏と呼んでもいいのか、四季ももはやないのではないか、そんな風にすら思ってしまいます。
最近、蜂に刺されたと言って受診される方が毎日のようにいらっしゃいます。蚊でもなく蝉でもなく蜂なのか。子供夏休みの宿題の絵に描かれるものが変わってしまうことになりそうです。

<かぜ情報>

かぜ症状で受診される方は一定程度はいらっしゃいますが発熱外来の予約枠が埋まるほどではありません。
新型コロナは少しずつ増えています。しかし増え方がとてもゆっくりのようです。これまでのコロナの「波」とは感じが違います。学校や幼稚園の夏休みが始まる前にまだそれほど感染が広がっていなかったせいもあるかもしれません。
昨年夏に大流行した手足口病やヘルパンギーナも8月初めの時点ではほとんどみられません。

<夏季休診のお知らせ>

8月15日から8月20日までは休診とさせていただきます。例年よりも5日程、後にずれていますのでご留意くださいませ。

<伊奈町特定検診について>

6月18日から毎年恒例の伊奈町の特定検診が始まっています。
伊奈町在住の国民健康保険証か後期高齢者証をお持ちの方が対象です(オプション検査となっている胸部レントゲンや大腸がん検診:便潜血などは社会保険に加入の方でも受けられます)。特定健診については対象者には伊奈町から案内(受診券)が届いているはずです。
今年は期間がやや短くなり10月末までとなります。毎年9月以降は予約がとりにくくなる可能性もありますので早めの受診をおすすめします。
ちなみに町の6月号の広報で検診受診促進の特集でインタビューに答えるという形で取り組みに協力させていただきました。

<糖尿病コーナー>

暑さが続くため熱中症予防が毎日のように呼びかけられています。改めて熱中症について解説してみたいと思います。熱中症と似たような名前で日射病、熱射病などもありますがそのあたりについても整理してみましょう。
熱中症とは簡単に言えば高温環境に伴う身体の異常です。熱中症には1、2、3と重症度が分けられています。1(I)度の熱中症はかつて日射病とも呼ばれていたものです。多量の発汗で脱水を起こしていますが、後述の意識障害や頭痛などの症状を起こす程にはなっていませんが、それでも立っていられない、だるい、といった症状が伴うことがあります。涼しいところで休み、水分を経口的に摂取すれば治まります。
また、発汗ととともに水分に比べて塩分の喪失が顕著な場合(あるいは水分のみを補充した場合)、細胞外の電解質バランス(塩分濃度の低下)により、筋肉に痛みをともなう痙攣が起きることがあります。「つった(足の場合はこむら返り)」とも表現されますがこの場合を熱痙攣といいます。これも1度熱中症に含まれます。2(II)度の熱中症になると頭痛や吐き気、軽い意識障害などやや重い症状を伴います。それでも自分の体温を調節(下げる)ことのできる範囲内です。点滴などによる外来診療で対応が可能な場合がほとんどです。3(III)度になると自らの体温調節能が効かなくなります。そのため体温自体も上昇するとともに発汗機能も停止してしまします。意識を失い、命にもかかわる大変危険な状態ですのでただちに総合病院への救急搬送(多くの場合入院)が必要です。大量の発汗時には水分の補給が必要ですが、前述のように塩分も必要です。水やお茶だけでは血液中の塩分濃度が下がって筋肉がつってしまいます。
対策としてスポーツ飲料が推奨されることがありますが、糖尿病がある場合には要注意です。スポーツドリンクにはかなりの量の糖分が含まれている場合が多いからです。ものによってはペットボトル1本あたり角砂糖8個分のときもあります。水に溶けた糖は食品に含まれる糖よりも血糖値を上げる力がとても強いためこのようなペットボトルを飲むことで著しい高血糖になりかねません。著しい高血糖になると尿に含まれる糖が多くなります。この尿糖は水分を尿に引っ張り込むため結果的に尿量が多くなりかえって脱水になってしまいます。最近ではスポーツドリンクによっては糖の含有量が少ないものも市販されているためそのあたりを見分けていただきたいです。商品名で言うとアクエリアスやポカリスエットはかなりの多くの糖分を含んでいます。一方でアクエリアス「ゼロ」には糖質がほとんど含まれていません。また「ポカリスエットイオンウオーター」もポカリスエットよりは糖の含有量は少なくなっています。ただし、少ないとは言っても半分程度ですので多量に飲むことはお勧めできません。ドラッグストアで販売されているOS-1は塩分の含まれる量が多いので効果的ですが糖分もポカリスエットの半分程度は入っているのでやはり量には注意が必要です。

<院長の日記>

日本の近現代史の研究で有名な半藤一利氏はこのように言っています。曰く、「日本人が四文字七音を使い始めたら要注意」と。太平洋戦争の戦前から戦中にかけて唱えられた「尽忠報国」「堅忍不抜」「王道楽土」「五族協和」「八紘一宇」「鬼畜米英」などみな四文字七音であり結局のところ最悪の結果となったのは誰もが知っているところです。最後は「一億玉砕」とまで言われました(これは正確には八音)。国民全員が死んでどうやって日本という国が続くのか、まさに狂気の沙汰でしかありませんがこのような言葉が「真面目に」唱えられた時があったのです。
明治維新の時にも同じようなことが起きました「尊王攘夷」「王政復古」「大政奉還」などです。太平洋戦争のときよりはまだマシに聞こえます。それでも明治維新もいわばテロと謀略による権力移行ですがその推進力になりました。日本人はもともと音韻として5と7を大事にしてきました。そのリズムが体に合うのでしょうか。四字熟語は中国からきています。日本人のオリジナルではありません。でも日本人は大好きなようです。言葉は言霊(ことだま)ともいうように単なる情報の伝達手段ではなく言葉自体に力があります。日本人にとってはこの四文字七音がどうにも抗いがたい魔力となってしまうのかもしれません。もはや「呪文」です。ちなみに大相撲での横綱昇進の際に口上を述べる使者への返答でも必ず四字の漢字が使われます。今年も豊昇龍が「気魄一閃」、大の里は「唯一無二」と言っていました。相撲は神事でもあるといいます。神事に呪文、まさにピッタリの組み合わせです。この豊昇龍の言った四文字をどれだけの日本人が読めてまた意味を理解できたでしょうか。しかも外国出身の力士が使っている・・・。そういうことなのです。
ところで言葉の魔力の怖いところは人がその意味について深く考えることを止めてしまうことです。魔力なので疑ってはいけないのですし不思議な説得力があります。大げさに言うならばどんなに荒唐無稽で論理破綻(これも四字熟語)な内容でも四字の漢字を使うとなぜか説得力があるように聞こえてしまいかねません。この魔力によって思考停止になってしまうとそのときの風潮や権力者に従うことしかできなくなります。
さて、最近大きな国政選挙がありました。今の時代に大衆から指示される権力者はわかりやすい言葉を使って人々の指示を集めているように思います。この「わかりやすさ」も危険です。「呪い」に通じるところはあると思います。自分で考えたり迷ったりすることはとても労力を使うことです。ただでさえ毎日の生活で精一杯なのにわざわざ考えることに時間を費やすのは余計な「コスト」になります。今の時代にあってやや古臭くも感じられる四文字七音が今後も呪文として効果的に使われることがあるのでしょうか。私はその可能性はまだあると思います。それほど四文字七音の力は日本人のDNAに刻まれていて短い時間では変わらないと思います。
ちなみに今回は時の首相が「赤心報国」という言葉を使っていました。身を賭して国に尽くすという意味でそれ以上の含意はないと思いますがそれを聞いてドキッとしました。時代が時代なら危なかったかもしれません。そういえば30年くらいまえにスキャンダルで辞任した時の首相も記者会見で中国の故事から引用した四文字を引用していました。権力者は苦しくなったときにも使いたくなるようです。まるで呪文にすがっているかのようです。